2022.8.30
株式会社1009代表の青木ハヤトとカタールのアル・ドゥハイルSC所属徳田新之介選手(プロハンドボールプレイヤー)との対談をお送りします。
◇徳田新之介(とくだ・しんのすけ)
1995年生まれ。山口県出身
小学2年生の時に地元「IDBスポーツクラブ」にてハンドボールを始める。山口県岩国工業高等学校卒業後、筑波大学へ進学。2016年、第17回男子アジア選手権で日本代表に選出。
ハンガリー・K&HリーガのダバシュVSE KCに加入、日本ハンドボールリーグの豊田合成を経て今シーズンからカタールのアル・ドゥハイルSCに所属。
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スポーツ一家 幼少期の教育や環境
徳田新之介(以下、徳田):僕の地元山口県岩国市にハンドボールチームができたんです。ハンドボール選手だった僕の母親と恩師たちが作ったんですけど、それでもう自然とハンドボールを始めた感じです。その時は野球、空手、水泳、マラソンもやっていて、本当にスポーツしかやっていなかったという小学生でした。
小学生の時は野球がメインで、(高校では)一緒にやっていたメンバーが当然のように甲子園に出て(山口県立岩国商業高等学校)。僕はその時ハンドボールで全国大会優勝したんですけど、野球は甲子園で一回勝ったぐらいで市長が駅までお出迎えがあったりとかして、そういうのを見ると正直ちょっと悔しいなと思いながら、もっとハンドボールが人気になればいいなと高校生の時には思いました。
青木ハヤト(以下、青木):結局まだ野球が強くて悔しいですよね。
徳田:悔しいですね。
青木:ハンドボールってやっぱり身体能力関係あるんですか?でっかい方が有利とか
徳田:そうですね。やっぱり大きくて動ける選手は最強だと思います。
青木:逆にその日本人選手で背は低くても代表になっている方とかいらっしゃるんですか?
徳田:僕が一番小さいぐらいですかね。
青木:そうなんですか!小さいって言われちゃうんですか、
徳田:僕のポジションでは世界で見ても1、2を争うぐらい小さいので。まあでもそれが逆にアドバンテージじゃないですけど、大きい選手の間から打ったり、スピードでかわしたりするプレーや、すばしっこくて捕まえにくいというところでなんとか活躍できるなって感じです。
青木:背が大きくなればなるほど敏捷性は落ちていく選手も多いということなんですかね?
徳田:そうですね、それはサッカーも同じだと思うんですけど、一人小さい選手がいるとチームのアクセントになるというか。チームとして大きい選手の中に小さい選手がいることでチームの流れが変わって良くなったりとか。
青木:それは知らなかったです、そうなんですね。
ところで、お父さんは何のスポーツしていたんですか?
徳田:もともとは自衛官でその当時ハンドボールクラブみたいなのがあって試合とかにも出ていたみたいです。でも本当にいろいろなスポーツをやっていて、野球やったりサッカーやったり、高校時代はいろんなスポーツをやりたいという理由で部活を途中で変えたりして、そういう人だったみたいです。
青木:まさにハンドボール一家という感じですよね。
徳田:そうですね、姉も弟もハンドボールしていて。あと親戚でいとこが10人ぐらいいるんですけど、その全員がハンドボールをやっていて、今現在実業団に入っている子とかもいたりして、もう実家帰るとハンドボールの話しかしないって感じですね。
青木:そんなにハンドボール一家だとハンドボール上手くなるためにこういうトレーニングしとけとかここ鍛えとけとかとこれ食えとかなんかありますか?
徳田:小学生の時はいろんなスポーツをした方がいいんじゃないかなというのがあって。僕だけじゃなくて親戚のいとこたちもバスケだったりサッカー、野球とか、ハンドボール以外のスポーツをみんなやっていました。マラソンは本当に親戚みんなで集まって広島まで行って大会出たりとかしていて。ハンドボールって走らないといけない、投げられないといけない、飛ばないといけないとかいろんな要素がいるので、そういう部分でいろんなスポーツをやるっていうのがハンドボールを上達するうえではかなり必要になりますね。
オリンピックに出場 感想・反響
徳田:高校生の時にオリンピックが決まって目標ではなく夢というか、ただ出られたらいいなぐらいな感じだったんですけど、大学生に入って大学二年の冬から日本代表に入って。その時に初めて明確な目標というかこのまま代表に入っておけばオリンピックに出られるんだというのがそこで見えて、絶対に出場したいとその時に感じたのを今でも覚えています。
青木:同じポジションでライバルって何人ぐらいいたんですか?
徳田:僕が入ってからもそこのポジションで7、8人ぐらい、もっといたかな? 10人ぐらい監督に試されて来るんですけど、試合とかに選ばれるのがだいたい2人なんですよ。その中で2人に選ばれなきゃいけないので練習中とかあえて自分が先にいったりとか、他の人にあんまりアピールさせないようにしたり、意地悪なんですけど、、
青木:いやいや、勝負事ですからね。
徳田:最後にオリンピック出る出ないの時にメンバー14人だったんですけど、そこに入るためにはって毎日この選手確定とかっていうのを自分の中でシュミレーションしていて。最後弟か僕かどっちかだなっていうのを考えれば考えるほどその選択しかたどり着かなくて、代表発表の2週間前ぐらいから全く寝られなかったです。その候補の相手が弟じゃなければ割り切っていけたと思うんですけど。それで発表の日の朝に監督に僕と弟が2人呼ばれて、コーチ二人もいて、監督から「こういうシチュエーションは俺も初めてだ。こうやって兄弟のどっちかを選ばないといけない。どっちかは出られるどっちかは出られないということで今後の人生がかかっているし」って言葉があったんですが、最終的には僕を選んでくれたんです。でも、結局運良く次の日にルールがコロナで15人に変わったので、弟も一緒に入れたんです。
青木:すごい!ご両親も大喜びですね。
徳田:本当によかったです。あの時弟とこんな争いしたくないっていうのをすごく感じたので、ポジションが一緒でプレースタイルも似ている弟と僕で1番2番、順番はどっちでもいいと思っているので、二人で日本代表でプレー出来たらなと今は思っています。
青木:やっぱり各国強かったですか?
徳田:そうですね。世界のトップ12チームしか出ていないので強かったですし、まぁでも逆に言うと何試合か勝てるチャンスがあった試合を落としてしまったのもありました。1点でも取っていれば決勝トーナメントに進めたっていう。もう来年はパリオリンピックの予選が始まり、ちょうど1年後にあるのでそこは絶対に勝たなきゃいけないし、どうにか勝ちたいですね。
青木:勝てる試合があったとおっしゃっておりましたが、その勝ち負けの差、その細かい僅差っていうのはどこの部分なんですか?
徳田:ハンドボール、特に日本代表は途中まで毎回いい試合して最後の10分ぐらいで負けるっていうのが結構多くて。そこは正直選手の中でもなんの差なんだろうっていうのはあるんですけど、僕は経験の差じゃないかなって思っています。こういうせった試合で勝つ為には1番は気持ちの部分が大事だとは思うんですけど、そこで相手のチームに押されているというか。日本人はより「チームでやろう」だから消極的になってしまっている部分があると思うんです。でも海外の選手は自分が決めてやるっていうので個人でも来たりしてそこが守れなくて結局負けるというか。チームワークももちろん大事なんですけど、最後のなんていったらいいか分からないですけど、個人で絶対決めてやるっていうそこの部分が足りてないのかなっていう風に思いますね。
青木:メンタルすごいですよね。
逆だったりすると日本のスポーツ弱いですよね。1-2だったりするとそこを何とか追い越してやろうっていうメンタルが弱いんですよ。やっぱりサッカーもそうですけど、だから先制されると弱かったりするんですよね。
外国の人とか聞いたことあるんですけど、点差負けてても最後の最後まで諦めずに同点だけじゃなくて勝つまでっていうメンタリティーがすごい。トレーニングとか普段の練習とかそういうメニューがあるみたいで講習とかも、メンタルが違いますよね。
徳田選手の武器 アピールポイント、今後の目標
徳田:僕は小さいのでやっぱりスピードはほかの選手よりはあると思うんですけど、それに加えて腕も短いのでシュート打つまでが結構速いって言われます。モーションが大きくてシュートまでが遅いと大きい選手にブロックされたりとか追いつかれたりするんですけど、僕の場合は結構クイックでモーションが少ないというかそれが一番の武器です。プレー的にはそういう感じで、あとは負けるのが本当に大っ嫌いなので結構意地悪(笑)じゃないですけど見えないところでちょっと威嚇したりとか(笑)
青木:それって海外の選手でも通用しました?
徳田:いや、外国人にはあまり。向こうも威嚇してくるのでそこで対等なんですけど、日本だと通用しやすいですね。
でも逆に海外の選手とやるときはそれをしないと舐められちゃうので海外行ったときも続けて、なんか悪いことされたときとか絶対に文句言わないとこいつ言ってこないんだっていうことになるので。
青木:わかります。サッカーもそうですね。それで自分が言い返さないと自分が悪くなっちゃって周りのチームメイトも「あぁ、あいつダメだ」って思われて、言い返すとキャプテンにちゃんと言い返してるってそこで認められるらしいんですよ。主張してケンカしないと舐められる。だから人種違いますよね。
クラウディオパンディアーニというブランドについて
青木:うちのブランドについてロゴとか変わってるじゃないですか。スポーツブランドとして、最初どう思いました?
徳田:可愛いなと思いましたね。
青木:なんか結構ナイキさんとかアディダスさんとかあまりこう獲得できてないところがうちのブランドは獲得できていて、犬好きが買ってくれるんですよ。犬種違っても純粋に犬好きだから買うっていう人が多いのが特徴ですね。
カタールとかって愛犬家とかいるんですかね?いたら結構人気出ると思うんですけどね。
徳田:僕先々月にカタールにレンタル移籍で2か月弱行ってたんですけど、その時1回も犬見なかったですね。(笑)聞いたら、暑いからみんな散歩しないらしいんですよ。僕結構車でいろんなところに行ったんですけど、1回も見なくて。犬いないんじゃないかなって思ってたんですけど家にはいるみたいで、家が大きいのでわざわざ外に散歩に行く必要がないみたいです(笑)
青木: 一応犬種フレンチブルドッグなんですけど、犬種的には闘犬といわれているぐらい獰猛なんですよ。共食いしちゃうぐらいなんですよ。
徳田:そうなんですか。なんかおとなしいイメージでした。
青木:めちゃくちゃ武闘派なんです。ファイターっす、土佐犬に勝ちます。あごの力がすごいんですよ!
なんでフレンチブルドッグは結構闘争心が強いです。
カタール移籍への想い
徳田:実際に先々月行って、めちゃくちゃ治安良いなって思ったのと、300万人ぐらい人口いる中で20万人がカタール人で、あとはほとんどが僕みたいに仕事で来てる外国人が多くていい国というのが印象的でした。
来年オリンピックの予選があるんですけど、ここ15年以上はカタールがずーっとアジアで1位でオリンピックにも出ていて、世界でも2位になるくらいすごく強いんです。日本はカタールに10年以上勝ってないので苦手なイメージがすごくあると思うんですけど、実際2か月行ってみて、勝てるなっていうのが僕が思った第一印象で。僕がカタールでプレーすることによって、この選手はこのプレーが得意とかっていうのを日本の選手にも僕からアドバイスできればオリンピック出場にも繋がるなと思いました。また、日本人がプレーしたことのないアジアクラブ選手権にも出場してみたい気持ちがあったので、カタールに1年間行くことを決めました。そして、ちょうどそのタイミングでカタールワールドカップがあるので、観に行きたいと思っています。
青木:なんでそんなに強いんですか?
徳田:ほとんどの選手がヨーロッパとかから帰化しているんです。僕のチームもカタール人が一人しかいなくてチュニジア・エジプト・キューバ・モンテネグロ・ボスニアとかそんな感じななんですけど、みんなカタール国籍を持っていてカタール人じゃないけどカタール国籍あるみたいな。なので、ほとんどが外国人で構成されているカタールがアジア1位という感じですね。
青木:レンタル移籍していたチームに行くんですよね?
徳田:そうですね。レンタル移籍2か月弱ぐらいしたチームです。今度は本移籍です。
青木:8月から何年ぐらい行くんですか?
徳田:とりあえず1年契約で6月までなんですけど、、だからまあ10か月ぐらいですかね。
青木:ちょうどサッカーW杯ですもんね。
徳田:その間、試合も止まるんですよ。リーグが9月から始まるんですけど10月末ぐらいに止まってW杯の為に全スポーツが止まるらしいですけど、見に行けよってことだと思ってます。
青木:カタール移籍は日本人としては初ですか?
徳田:ハンドボールではそうですね。
青木:これがパイオニアになって今後日本人が行くのが増えたらいいですね。
徳田:そうですね。サッカーの中島翔哉選手も同じチームにいたみたいです。アル・ドゥハイルSCっていうチームなんですけど。なので、このチームでは日本人2人目みたいで、前日本人いたよって言われますね。
青木:それはアル・ドゥハイルSCっていうのがあって、そこがいろんなスポーツもやってるってことなんですか?
徳田:基本はサッカー・ハンドボールなんです。
青木:サッカーとハンドボールって結構相性いいんですよね。
バルセロナもハンドボールありますもんね。ヨーロッパはサッカーとハンドボールの組み合わせめちゃくちゃ多いですもんね。
サッカージャンキーってサッカーウエアだけどハンドボールでも全然順応できるんですよね。
徳田:ハンドボールっていうのがなかなかないのでサッカーウエア買って着てますもん。
青木:もし弊社ブランド仕入れたいっていう富豪がいたら、どんどん紹介してもらった方がいいですね(笑)それきっかけでサッカージャンキーとかハンドボールジャンキーがカタール進出とか。
徳田:そうですね。カタールでも積極的に着用させていただきます。
青木:本日は貴重なお話ありがとうございました。
◇徳田新之介(とくだ・しんのすけ)選手の所属しているアル・ドゥハイルSCの情報はコチラから
公式HP:https://lekhwiyaclub.com/en/hand-ball/news-handball.html
instagram:https://www.instagram.com/duhailsc/?igshid=YzAyZWRlMzg%3D
<文・編集>・堤 三優菜(つつみ・みゆな)